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2003/10/26

『美しき天然』の話

今日はサーカスの日です。
これは1871年にフランスのスリエサーカスが日本で初めて洋風のサーカス
を興行したのを記念して制定されました。

今のサーカスは、とても大掛かりなものが主流ですがサーカスと聞くと、
朱雀はどうしても物悲しいあのメロディを思い浮かべてしまいます。
『美しき天然(天然の美)』と言う曲なんですが、ご存知ですか?
チンドン屋さんの曲といった方が分りやすいかも。

この曲には歌詞がありますが、朱雀も少ししか知らなかったので
ちょっと調べてみました。
曲は、明治35年に創設された私立佐世保女子学校で音楽教師をしていた
佐世保海軍軍隊長、田中穂積が女子生徒の音楽教材として、滝廉太郎の
『花』の作詞者でもある武島羽衣の詩に合わせ美しい佐世保の九十九島
の情景をイメージして作ったそうです。

後にこの曲は、朝鮮半島からロシア、沿海州に流れ流れて、たどり着
いた高麗人(コリョサム)が流浪と追放の歴史の記憶をたどりながら
望郷の念を込めた自国の歌として、タイトルを変え、中央アジアで盛ん
に歌われるようになります。
またこの歌は救世軍歌としても、盛んに歌われていたそうです。

天然の美

空にさえずる鳥の声
峯より落つる滝の音
大波小波とうとうと
響き絶えせぬ海の音
聞けや人々面白き
此の天然の音楽を
調べ自在に弾き給う
神の御手の尊しや

春は桜のあや衣
秋は紅葉の唐錦
夏は涼しき月の絹
冬は真白き雪の布
見よや人々美しき
この天然の織物を
手際見事に織りたもう
神のたくみの尊しや

うす墨ひける四方の山
くれない匂う横がすみ
海辺はるかにうち続く
青松白砂の美しさ
見よや人々たぐいなき
この天然のうつしえを
筆も及ばずかきたもう
神の力の尊しや

朝に起る雲の殿
夕べにかかる虹の橋
晴れたる空を見渡せば
青天井に似たるかな
仰げ人々珍しき
此の天然の建築を
かく広大にたてたもう
神の御業の尊しや

この詩で讃えられているのは神道の神ではなく、キリスト教的な天地を
創造した神だと言われています。作詞家の羽衣の奥さんが、熱心な
クリスチャンで、その影響から、神の創造を讃えるこの歌が出来たの
ではないかということです。
この歌詞の美しさと曲の物悲しさはなんともいえないですね。凄すぎ!
でも、それが何故、サーカスやチンドン屋で使われるようになったのかは
分かりませんでした。

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